2007年11月10日土曜日

戸田正勝先生in広島県立歴史民俗資料館

 『最古の狩人を求めて-中国山地と三次の旧石器文化-』展 開催中の県立歴史民俗資料館では、今日11月10日(土)午後より、文化財講座「日本旧石器文化研究の現状と課題-鈴木遺跡と下本谷遺跡から-」が、多くの聴衆が参集される中、開催されました。
 今回、この講座の講師としてお越しになられたのは、國學院大學栃木短期大學 学芸員兼任講師 の戸田正勝先生でした。

 右上の写真は、ご講演前に撮影した戸田先生と当三次旧石器文化研究会員との写真です。

 ご講演では、岩宿遺跡発見以来の謎、後期旧石器時代初頭と位置づけられる遺跡において、ナイフ形石器と磨製石斧がともに発見されるという事に関する論争を紹介。
 
 そして、そのような出土傾向と同様の様相をもつ鈴木遺跡の特徴について、スライドと図面を交えお話いただきました。
 
 次にいよいよ、下本谷遺跡と鈴木遺跡(Ⅹb層)との比較。
 それによると、石器出土状況について、環状ブロックのような出土傾向に共通点がある。と指摘がありました。
 また、Ⅹb層出土石器との比較については、鈴木遺跡(Ⅹb層)出土の石器に比し、下本谷遺跡の石器には大形品が目立つ。としながらも、それは時期的な差異ではなく、観察の結果、各々の石器の作り方やかたちには、共通点があることをお話になられました。
 
 講演の最後には、最古の狩人たちの渡来ルートを検証されました。下本谷遺跡や鈴木遺跡は、オーストラリアやニューギニアといった南方からやってきた石器文化が「黒潮の道」を経て、やってきた可能性について、ダイナミックなお話をされました。

 東京の遺跡と広島の山奥の遺跡にどんな共通点があるのだろう?と思っていましたが、その共通点の多さ、特徴の類似に驚きました。
 また、講演の最後に話されたことを聞き、下本谷遺跡の石器は、日本列島のみならず、世界的規模で考える必要があるんだということにまたまた驚きました。下本谷遺跡が如何に貴重な遺跡であるのかを改めて思い知らされた。そんな講演会でした。
 
 このような貴重な石器類を一同に展示してある『最古の狩人を求めて-中国山地と三次の旧石器文化-』展もいよいよ11月18日(日)までとなりました。
 日本を代表する研究者たちも関心をおく、全国最古級の旧石器遺跡である下本谷遺跡をはじめ、史跡岩宿遺跡の石器類、南関東の代表的な遺跡であり、日本最古級の鈴木遺跡などなど。これを逃すといつ見れるか分かりませんよ。
 どうぞ、この機会にぜひ三次の広島県立歴史民俗資料館に行ってみてくださいね。